CAPDで回す炎上プロジェクト:「頑張ります」の代わりに「消火の型」を【Excelテンプレート+Claudeスキルダウンロード】

CAPDで回す炎上プロジェクト

目次

「気合で乗り切る」以外の選択肢はありますか?

「要件が固まらないまま開発が始まった」「キーパーソンが不在でGOが出ない」「納期の直前に仕様が変わった」「情報が共有されていない」「作業者が問題を隠していた」。
プロジェクトでは日々さまざまな問題が起きます。では、どの時点から「炎上」と呼ぶのでしょうか。

「このままではローンチ予定日に間に合わない」と、あなたや現場が気づいた瞬間。
本記事では、この瞬間を炎上の始まりと考えます。

本記事では、期限のあるプロジェクトが炎上したときの立て直し手順「CAPD(Check→Act→Plan→Do)」を紹介します。
扱うのは平常時の運用改善ではありません。
納期が迫るなかで炎上を鎮め、着地点を見つけるための「消火の型」を、精神論抜きでまとめました。

この記事の要点
  • CAPDは、炎上プロジェクトをCheck(測る)→Act(止める)→Plan(決める)→Do(消す)の順に立て直す手順です。計画より先に、現状の把握と止血を行います。
  • 最初の30分で、スコープ・スケジュール・コスト・PMBの4つのベースラインを測り、「健康診断レポート」にまとめます。
  • QCDのどこを譲るかをベスト・リアル・ワーストの3つの着地シナリオにまとめ、顧客に「どれで進めますか?」と示します。
  • 発火源の4タイプ(認識・調整不足/計画・見積の甘さ/体制・属人化/アンコントロール)ごとに対処し、もう一度Checkして鎮火を判定します。
プロジェクト炎上に気づいてから鎮火するまで

発火源別の対処法から読む場合は「3-4. Step 4. D(Do)」へ

OUTPUT:CAPDを回すと何が手に入るか

CAPDを回すと、「頑張ります」の一言に代わる材料が2つそろいます。
どちらも、上位者や顧客への説明・交渉・再合意にそのまま使えます。

  1. 健康診断レポート
    下記の4つのベースラインごとの判定表です。
    どこで、何が、どれくらい燃えているかを一目で確認できます。
    C(Check)の成果物であり、最後の「再びC」で鎮火を判定するときの比較基準にもなります。
    • スコープ・ベースライン
    • スケジュール・ベースライン
    • コスト・ベースライン
    • パフォーマンス測定ベースライン(PMB)
  2. 着地シナリオ比較表
    QCDのどこを譲るかを、ベスト・リアル・ワーストの3シナリオで整理した表です。
    「どうしますか?」ではなく「どれで進めますか?」と、相手に選択肢を示せます。
    ステークホルダーへの説明資料としてそのまま使えます。

この2つを出力するClaude専用スキルと、書き込みながらCAPDを進められるExcelの実践ガイドを、記事末尾のDOWNLOAD CONTENTで配布中です。

1. 「炎上」を分解する

プロジェクトの炎上は、突然起きるものではなく、いくつかの要因が積み重なった結果です。
「なぜ炎上したのか」を分解すると、原因となる発火源は次の4つに集約できます。発火源①:認識・調整不足(言った言わない、仕様のコロコロ変更)

  • 仕様がわからない
  • 仕様がコロコロ変わる
  • 仕様に対して合意できていない
  • スコープを明確にできていない
  • レビューが甘い
  • 検証できていない

発火源②:計画・見積の甘さ(終わらないタスク、膨らむコスト)

  • タスクの完了が遅い
  • 予算が削減された
  • タスクのサイズ・役割・スコープが適切でない
  • 設計が甘い

発火源③:体制・属人化の罠(キーマン離脱、ブラックボックス)

  • 担当者がいなくなった
  • ドキュメントを残していない
  • 特定の人に聞かないとわからない状態が続いている

発火源④:アンコントロール(外部遅延、前提条件の崩壊)

外部依存の遅延や前提条件の変化など、自分たちでは制御できないもの。

こうした発火源に直面すると、人は判断を誤りがちです。
「まだ大丈夫」と考えて全体像を見失う。「ここまでやったから」と損切りを先延ばしにする。「誰が悪いか」の議論に時間を使い、「どう着地するか」を後回しにする。
炎上の度合いが上がるほど、「気合でなんとかする」という発想に流れていきます。
こうした判断の歪みが、小さなボヤを大火災に広げます。

だからこそ、型に沿って動くことが必要です。

2. INPUT:消火活動を始める前に集める材料

炎上に気づいた直後にやるべきことは、新しい策を考えることではありません。意思決定に必要な情報を、最短で集めることです。
資料探しに半日かけるより、10分話せる人を1人見つけたほうが早く進みます。
まずは資料そのものより、情報を持っている人と、情報の置き場所を押さえてください。

2-1. 「これだけ」の最小INPUT3点

最低限そろえるINPUTは3つだけです。
この3つがあれば、「間に合うか」「何を切るか」「誰に何を伝えるか」を整理して、CAPDを回し始められます。

  1. 納期×成果物の定義 ゴールラインがわからないと、着地シナリオを描けない。
  2. 課題管理表やWBS 「今どこにいるか」がわからないと、残りの工数を積み上げられない。
  3. 決裁できる人 GOを出せる人がいないと、現場が動けない。
最小INPUT3点:納期×成果物の定義、課題管理表やWBS、決裁できる人

2-2. 炎上のINPUTに「あると心強い」材料7点

ここから先は、そろっていると心強い材料です。
資料が見つからない場合は、「存在しない」こと自体を事実として記録してください。資料がないという事実も、状況を判断する重要な情報になります。

  • 議事録・会議メモ 合意の証跡として、「OK」「了解」の文脈と範囲を確認する。
  • 契約書・発注書・SLA 責任分界の根拠と、発動できる条項を確認する。
  • 要件定義書・仕様書 仕様のベースラインであり変更管理の基準線になる
  • 変更履歴・変更依頼ログ スコープの変更を追う材料
  • 組織図・体制図 責任の所在を確認する。所在が曖昧なら、その事実も手がかりになる。
  • 課題管理表・リスク管理表 既知のリスクと未解決課題の一覧
  • メール・チャットの証跡 口頭合意の裏付け

2-3. 「ない」を次の一手に変換するヒント

資料が見つからないときは、そこから読み取れるリスクと次の一手に置き換えます。

  • 議事録がない → 合意の証跡がない = スコープ争いのリスク
  • 契約書が出てこない → 責任分界が曖昧 = 先にステークホルダーと調整する(決裁ラインの確保を優先)
  • 契約の条項が使えない → 交渉カードがない = 待ちが発生しやすい(中間の合意とチェックポイントを先に作る)
  • 「了解」の範囲が不明 → 合意範囲が分解されていない = 追加要件が紛れ込むリスク(合意範囲を棚卸しして再合意する)
  • 口頭合意の裏付けがない → 証跡がない = 言った言わないのリスク(ログの確保か議事録運用の必須化)
  • 暗黙の前提が多い → 前提が言語化されていない = 再燃のリスク(前提を書き出して合意を取り直す)
  • 資料そのものがない → 基準線がない = スコープ紛争のリスク(最小限の合意ドキュメントを今から作る)

3. PROCESS:CAPDとは?現場で回す消火の型

CAPDとは、炎上したプロジェクトをCheck(測る)→Act(止める)→Plan(決める)→Do(消す)の順に立て直す手順です。
PDCAが計画から始めるのに対し、CAPDは現状の把握と止血から始めます。
消火の第一歩は、火の規模をつかむことです。CAPDの順に考えると、集めたINPUTを実行できるアクションに分解できます。

CAPDサイクル:Check、Act、Plan、Doの順に回し、再びCheckで鎮火を判定する

D(Do)の後は、再びCheckです。
「鎮火したか、まだ燃えているか」を判定するまでを1サイクルとし、火が完全に収まるまでループを回します。

「それって、OODAじゃないの?」

PDCAと並べて語られることの多い手法に、OODA(ウーダ)ループがあります。
本記事で提唱するCAPDとOODAは、どちらもPDCAの「P(計画)から始める」という前提を覆している点で共通しています。

違いは使う場面です。CAPDは、炎上プロジェクトの収束を目指す全体のプロセスです。
OODAはCAPDのD(Do)フェーズで使います。状況が定まらないなかで、顧客と高速に壁打ちを重ねるための意思決定ツールという位置づけです。

3-1. Step 1. C(Check):最初の30分で「火の規模」を測る

Checkでは、最初の30分で現状を可視化し、4つのベースラインに照らして火の規模を測ります。
まず、次の3つの軸で状況を把握してください。

  • 残時間と残タスク あとどれだけの時間で何を終わらせる必要があるか
  • 最大のボトルネック すべてのタスクが同じように燃えているわけではないため、最も大きな問題がどこにあるかを特定する。
  • 影響範囲のマッピング 何が・誰に・いつ影響するかを整理する

この3つの軸を、次の4つのベースラインに照らして測定します。
情報を完璧にそろえる必要はありません。30分で全体像をつかむことが目的です。

  • スコープ 当初合意したスコープと現状の差分(例:要件追加10件中6件が未合意のまま開発に着手)
  • スケジュール マイルストーンの遅延状況(例:結合テストの開始が2週間遅延し、クリティカルパス上にある)
  • コスト 予算の消化率と残工数の見通し(例:予算の80%を消化したのに、残作業が40%ある)
  • パフォーマンス測定ベースライン(PMB) 計画と実績の総合的な乖離(例:SPI 0.7/CPI 0.8で、計画比30%の遅延と20%の超過)
4つのベースライン:スコープ、スケジュール、コスト、パフォーマンス測定ベースライン(PMB)

測定結果をまとめると、プロジェクトの「健康診断レポート」ができあがります。
このレポートは、次のA(Act)で出す第一報のベースになり、P(Plan)を組み立てるときのインプットにもなります。

3-2. Step 2. A(Act):初動で火を止める

Actでは、計画を立てる前に第一報を出し、燃え広がりを止める応急処置を行います。第一報を出す

把握した被害状況は、すぐに共有してください。「もう少し調べてから」と待つ間に、ボヤは大火事に広がります。
不完全でかまいません。「今わかっていること」と「まだわかっていないこと」を分けて、上位者と顧客に第一報を出しましょう。最悪ケースのシミュレーション

「このまま何もしなかったら、3日後にどうなっているか」を具体的に想像します。
この想定がエスカレーションの根拠になり、P(Plan)の出発点にもなります。応急処置:これ以上燃やさない

  • 影響が拡大しているタスクを一時凍結する 走り続けるより止めたほうが、被害が小さく済む場合もある。
  • 暫定の意思決定ラインを確保する キーパーソンが不在なら代理の承認者をその場で決める
  • 情報を一元化する 散らばった情報を課題管理表やSlackチャンネルなど1か所に集める

「計画を立ててから動く」のがPDCA。「まず目の前の火を消してから計画する」のがCAPDです。

3-3. Step 3. P(Plan):現実的な消火計画を立てる

Planでは、Q(品質・スコープ)・C(コスト)・D(納期)のどこを譲り、どこを守り抜くかを決めます。
理想の計画を一から立て直す作業とは異なります。

  • Q(品質・スコープを譲る) 機能の先送り・運用でのカバー・非機能要件の緩和・テスト範囲の絞り込み
  • C(コストを調整する) 追加請求・自社負担(「貸し」として記録)・責任分界の再交渉・分割検収
  • D(納期を調整する) リリース延期・フェーズ分割・マイルストーンの再定義・並行稼働の延長

これらを組み合わせて、次の3つの着地シナリオを30分で作ります。

  1. ベストケース 最大限の努力で実現できる着地
  2. リアルケース 現実的にいちばん確率が高い着地
  3. ワーストケース 最低限これだけは守るライン
QCDのどこを譲り、どこを死守するか:ベストケース、リアルケース、ワーストケースの3シナリオ

3つのシナリオができたら、すぐにエスカレーションしてください。
着地点は自分たちだけでは決められません。顧客も巻き込み、QCDの優先順位を一緒に決めていきます。
言いにくい報告は、先送りするほど損失が大きくなります。焼け野原にしない着地点を見つけることが、プロの仕事です。

よくある状況への対処は「4. よくある質問(FAQ)」へ

3-4. Step 4. D(Do):発火源別に消火し、再燃を防ぐ

Doでは、着地シナリオに沿って、発火源のタイプごとに決まった手順で消火します。
有効な打ち手は発火源によって異なります。自分のプロジェクトがどのタイプに当てはまるかを確認し、該当する手順へ進んでください。

発火源①:認識・調整不足(言った言わない、仕様のコロコロ変更、合意不足)

認識のズレが原因の場合、情報は常に不完全で、待っていても正解は出てきません。
ここではOODAループ(観察→状況判断→意思決定→行動)の考え方をベースに、相手と一緒に高速で認識をすり合わせます。

発火源①:認識・調整不足(言った言わない、仕様のコロコロ変更、合意不足)
  1. 「何が合っているか」を逆転確認する 全部がダメなわけではないので、ズレの範囲を特定する。
  2. 議事録をすぐ共有する 「何を合意したか」を毎回確認して記録する
  3. 仕様変更は1件ごとに評価する 影響・コスト・納期をすぐに評価し、積み重なった影響を数字で示す。
  4. 期待値を再調整する 「何ができて何ができないか」を早めに示し、選択肢から選んでもらう。

着地例 追加要望10件のうち、優先度の低い6件をフェーズ2へ先送りした(スコープを譲歩)。残り4件の追加工数は変更管理表で見える形にし、追加費用として顧客と再合意した(コストを再交渉)。

発火源②:計画・見積の甘さ(タスクが終わらない、予算削減、スコープが不適切)

計画の甘さが原因の場合、プロジェクト全体を一度に立て直そうとしても成功しません。
スコープを一点に絞り込み、相手と一緒に優先順位を決めていきます。

発火源②計画・見積の甘さの消火手順と着地例
  1. 交渉の3択を30分で作る ①追加請求、②スコープ削減、③自社負担(「貸し」として記録)の3つを用意する。
  2. 3択を持ってすぐエスカレーションする 「問題の報告」ではなく「解決策の提案」として届ける。
  3. 変更合意書の流れを守る ドラフト、承認、締結の順で進め、口約束では動かない。
  4. スケジュールはスコープ調整で対応する 無理な短縮は品質の崩れを招くため、期間を圧縮せずに作業を減らす。
  5. 「貸し」にするなら線引きを記録する 分割検収で入金を早め、次の案件の見積りに反映する旨を書面で合意する。

着地例 全20機能のうち影響の低い5機能をカットし、リリースを2フェーズに分けた(品質と納期を譲歩)。カット分の工数80時間は「貸し」として記録し、次の案件の見積りに反映することを書面で合意した(コストの線引き)。

発火源③:体制・属人化の罠(担当者がいなくなった、ドキュメントがない、ブラックボックス化)

属人化とは、知識が特定の個人にしかない状態です。
暗黙知を形式知に変え、「あの人に聞かないとわからない」状態を解消していきます。

発火源③体制・属人化の消火手順と着地例
  1. 棚卸しセッションをすぐ開く 現担当と有識者で暗黙知を言葉にする。旧担当がいれば最優先で呼ぶ。
  2. 蒸し返しを防ぐ 決定事項・未決事項・前提を1か所に集め、合意の履歴を残す。
  3. ブラックボックスを洗い出す 影響の大きい箇所から、ペア体制とドキュメント化に着手する。

目指すのは完全な解消ではありません。「ドキュメントを見れば6割わかる」状態です。

着地例 キーマンの離脱を受けて、1週間の状況整理期間を確保した(納期を譲歩)。ブラックボックスになっていた機能は当面運用でカバーし、ドキュメント化を並行して進めた(品質を一部譲歩)。

発火源④:アンコントロール(外部起因の遅延、前提条件の崩壊)

外部要因で燃えている場合、待っていても状況は好転しません。
「ここから先は燃やさない」という線を引き、被害を最小限に抑えます。

発火源④アンコントロールの消火手順と着地例
  1. 自チームの手を止めない モックやスタブで作業を進め、相手の成果物が届いたらすぐ結合できる状態を保つ。
  2. 48時間ルールを決める 48時間返答がなければ、エスカレーション先に直接連絡する。
  3. 契約書の発動できる条項を確認する 使えるなら中間チェックポイントを設計し、使えないなら中間の合意を先に作る。
  4. 前提が崩れたらすぐマッピングして再合意を求める 影響が及ぶ部分と及ばない部分を切り分け、「防火帯」の考え方で対処する。

着地例 外部ベンダーのAPI提供が3週間遅れた。自チームはモックAPIで結合テストを先に進め、手戻りを最小限にした(品質を一部譲歩)。リリースは2週間後ろ倒しにし、遅延期間中の追加稼働コストを外部ベンダーとの責任分界として記録した(納期を譲歩し、コストを線引き)。

3-5. Step 5. 再びC(Check):「正常」か「まだ燃えてる」かを判定する

最後のCheckでは、4つのベースラインを測り直し、鎮火したかどうかを3段階で判定します。
Step 1で作った健康診断レポートと比べて、今の状況を確認してください。

  • 正常 4つのベースラインすべてで乖離が許容範囲に収まった状態。通常のPDCAに戻り、再燃を防ぐ仕組みを定着させる。
  • くすぶり 一部のベースラインに乖離が残っている状態。残ったリスクに絞って、A(Act)からもう一度ループを回す。
  • 燃えてる 複数のベースラインで乖離が広がった、または新しい火種が出た状態。着地シナリオを作り直してエスカレーションし、CAPDを最初から回す。
鎮火の3段階判定:正常、くすぶり、燃えてる

最後のCで鎮火を確認できるまで、CAPDのループを回し続けます。
DOWNLOAD CONTENTのスキルは、判定を「正常/要注意/炎上中」の3段階で表示します。それぞれ上の「正常/くすぶり/燃えてる」と同じ意味です。

お問い合わせ メソッドの適用やプロジェクトの推進のご相談はこちら。

4. よくある質問(FAQ)

炎上の現場でよくある疑問にお答えします。

Q. 炎上に気づいたとき、まず何からやればいいですか?

A. 30分で被害状況を確認し、最悪ケースを想定したうえで第一報を出します。

最初にやるのは、新しく考えることより、すでにある情報の整理です。残時間と残タスクの棚卸し、最大のボトルネックの特定、影響範囲のマッピング。この3つを30分で把握しましょう。そして「もう少し調べてから」と思う前に、被害状況を共有してください。不完全でかまいません。ボヤを大火事にしないためには、初動の速さが最も重要です。

Q. 「お任せ」と言われたのに、後からひっくり返されました。どう防げますか?

A. 「逆転確認」と「壁打ち頻度の引き上げ」で仕組み化します。

「お任せ」という一言は、合意ではなく「まだ考えていない」というサインであることがほとんどです。まずは「何が合っているか」を確認し、ズレの範囲を特定しましょう。そのうえで壁打ちの頻度を上げ、こまめに認識をそろえれば、後から「聞いてない」と言われる事態を防げます。口頭で合意した内容は、必ず議事録に残してください。

Q. 仕様変更を断れません。どう対処すればいいですか?

A. コストと納期への影響を数字で示し、選択肢として提示します。

仕様変更そのものを断る必要はありません。変更を1件受けるたびに影響・コスト・納期をすぐに評価し、積み重なった影響を見える形にしておきます。「この変更を入れると納期が◯日延び、追加コストは◯万円です。優先度の低い機能をフェーズ2に回す案もあります」と選択肢を見せれば、顧客が自分で判断できます。

Q. 下請けの立場でも追加請求はできますか?

A. 変更合意書と影響評価を根拠に、「プロジェクトの正常化」として提案します。

「追加請求をすると揉める」と考えがちですが、スコープ外の作業に正当な対価を求めることは、プロジェクトを正常な状態に戻す行為です。変更管理表で「当初スコープ」と「追加分」をはっきり分け、変更合意書はドラフト、承認、締結の順を必ず守りましょう。口約束で作業を進めないことが、いちばんの防御になります。自社負担(貸し)にする場合も、負担する範囲を書面に残し、次の案件の見積りに反映する旨を合意しておきます。

Q. 「遅延します」と言い出せません。どう切り出せばいいですか?

A. 着地シナリオを3つ用意し、問題の報告ではなく解決策の提案として伝えます。

「遅れます」とだけ伝えられても、相手は困ってしまいます。ベスト・リアル・ワーストの3つの着地シナリオを30分で作り、QCDの優先順位と合わせて提示しましょう。「問題が起きました」の代わりに「こういう選択肢があります。どれで進めますか?」と伝えるだけで、話し合いの中身が変わります。言いにくい報告ほど、先送りすると損失が大きくなります。

Q. 引き継ぎ期間がゼロです。どうすればいいですか?

A. 棚卸しセッションをすぐに開き、旧担当との並走期間を1日でも確保します。

引き継ぎ期間がゼロという状況は深刻ですが、完璧な引き継ぎを目指す必要はありません。まずは新担当と「合意事項の棚卸しセッション」を開き、暗黙知を言葉にするところから始めましょう。旧担当との並走は1日でもかまいません。0日と1日では、引き継げる情報の量が大きく違います。新担当が知らないことを責めず、仕組みの問題として扱ってください。そうすることで、チームの信頼を保てます。

Q. 属人化の解消なんて現実的に無理では?

A. ブラックボックスの洗い出しから始め、ペア体制とドキュメント化でリスクを下げます。

属人化を一晩で解消するのは、確かに現実的ではありません。完全な解消を目指す必要もありません。まずはブラックボックスになっている領域を洗い出し、影響の大きい部分からペアで担当してドキュメント化を進めましょう。「あの人に聞かないとわからない」状態を「ドキュメントを見れば6割わかる」状態に変えるだけでも、プロジェクトを立て直せる可能性は大きく上がります。

Q. 外部遅延で間に合いません。どうすればいいですか?

A. モックでの並走、48時間ルール、プランBの事前合意で、待ち時間を前に進める時間に変えます。

外部要因による遅延は、待っていても好転しません。自チームはモックやスタブを使って作業を進め、相手の成果物が届いたらすぐ結合できる状態を保ちましょう。相手から48時間返答がなければ、エスカレーション先に直接連絡します。これが「48時間ルール」です。社内では、遅延が続いた場合のプランBを事前に合意しておきます。中間チェックポイントを設け、こちらから進捗を管理することがポイントです。

Q. 前提条件が崩れました。何から手をつければいいですか?

A. 影響範囲をすぐにマッピングし、影響を受ける部分だけを再設計する「防火帯」の考え方で対処します。

前提が崩れたときに全体を作り直そうとすると、作業が止まってしまいます。まずは影響範囲をマッピングし、前提崩壊の影響を受ける部分と受けない部分を切り分けましょう。影響を受ける部分だけを再設計し、それ以外は予定どおり進めます。燃え広がりを食い止める「防火帯(ファイアブレイク)」の考え方で、被害を最小限に抑えられます。

Q. 相手(顧客やベンダー)と戦うしかないのでしょうか?

A. 向き合う相手は「状況」です。犯人探しに使う30分を、着地点探しに使いましょう。

炎上すると「誰が悪いのか」に意識が向きがちですが、犯人探しに時間を使うほど着地点は遠のきます。相手を敵に回せば、着地点そのものがなくなります。相手も同じように困っているはずです。「一緒にどう着地させるか」を考える味方として巻き込むことで、現実的な解決策が見えてきます。

5. CAPDで回す炎上プロジェクトのまとめ

消火の成功は、状況把握、現実的な計画、実行、相手と一緒に動く姿勢の掛け算で決まる

炎上プロジェクトの立て直しは、CAPDの順に進めます。最初の30分で火の規模を測り(Check)、第一報と応急処置で燃え広がりを止め(Act)、3つの着地シナリオで譲る範囲を決め(Plan)、発火源ごとに消火します(Do)。
消火の成否は、状況把握・現実的な計画・実行・相手と一緒に動く姿勢の掛け算で決まります。どれかひとつが欠けると、ほかがそろっていても火は消えません。

「間に合わない」と気づいたら、まず30分で火の規模を測り、第一報を出すところから始めてください。
DOWNLOAD CONTENTのスキルとExcelの実践ガイドを使えば、健康診断レポートと着地シナリオの材料を手早くそろえられます。

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「間に合わない」と気づいたその日から使える、炎上プロジェクトの診断・立て直しセット【Claude専用スキル+Excelテンプレート】を無料配布!

CAPDのC(Check)を半自動化するプロジェクト診断スキルと、書き込みながらCAPDを回せるExcelの実践ガイドのセットです。
スキルは「プロジェクトが炎上してます。診断してください」と話しかけると起動します。4つのベースライン(スコープ・スケジュール・コスト・PMB)で現状を診断し、「健康診断レポート」と「着地シナリオ比較表」を出力します。
Excelは、初動30分チェック、応急処置、着地シナリオの提案、発火源別の対処の順にシートを埋めていくと、CAPDを1周回せます。

【配布内容】methods_MO-003_project-recovery.zip

  • project-recovery-v2
    • SKILL.md(スキル本体)
    • README.pdf(利用ガイド)
    • references
      • worksheet-cell-map.md
        (Excel実践ガイドのセル対応表)
    • templates
      • health-check-template.md
        (健康診断レポートテンプレート)
      • input-assist-template.md
        (Excel実践ガイドの入力案テンプレート)
      • landing-scenario-template.md
        (着地シナリオ比較表テンプレート)
    • worksheet
      • CAPD炎上プロジェクト対応_実践ガイド.xlsx
        (Excel実践ガイド)

※本スキルはClaude専用の「AIエージェント構築セット」です。他AIでは設計通りの動作にならない場合があります。
※生成AIの特性上、回答の正確性は保証されません。本ツールの利用により生じた不具合・損害・法的トラブル等について、当社は一切の責任を負いかねます。

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